写真家・senobiが切り取る、ヨコハマトリエンナーレ2020 「美術手帖」TikTokアカウント連動「Art in Seconds」

2020/10/10

ニック・ケイヴ 《回転する森》 2016/2020 © Nick Cave Photo by senobi

「美術手帖」がTikTokアカウント「Art in Seconds」を10月10日にオープン。活躍するアーティストやクリエイターの写真・動画を通して、全国の展覧会・アートイベントを動画で紹介していく。「Study by 美術手帖」では、本コンテンツと連動して、紹介されている作品やアートの楽しみ方を解説。第1回目は新進気鋭の写真家・senobi×「ヨコハマトリエンナーレ2020」。情緒的な色彩と視点で、展示作品を切り取る。

鮮やかな色彩と装飾で、差別への問いを投げかける──ニック・ケイヴ

ニック・ケイヴ 《回転する森》 2016/2020 © Nick Cave Photo by senobi

シカゴを拠点に活動しているニック・ケイヴは、鮮やかな色彩と豊かな装飾性を特徴としながら、人種やジェンダー、社会階級に基づく差別への問いを投げかける。《回転する森》で天井から吊るされているのは、アメリカでよく見る庭用の飾り「ガーデン・ウィンド・スピナー」。キラキラとした光のあいだには、銃や弾丸といった恐怖の対象も隠れており、アメリカ社会の複雑な現実を思わせる。senobiはこれらを、フィルムカメラのファインダーを介すことによって、記憶の奥底にある痛覚を覗き見るように切り取った。

お腹の中の善玉・悪玉──エヴァ・ファブレガス

エヴァ・ファブレガス   《からみあい》 2020  Photo by senobi

エヴァ・ファブレガスは、大型のソフト・スカルプチャーや鑑賞者を包み込むようなインスタレーションを通して、人間の身体や欲望、情動が、産業デザインからどのような影響を受けるのかを探究している。ヨコハマトリエンナーレ2020のアーティスティック・ディレクター、ラクス・メディア・コレクティヴは、人間の腸のようなこの作品を見て、1000兆個もの善玉菌や悪玉菌が共生するわたしたちのお腹の中の世界へと想像を広げた。senobiによるモノクロームの写真は、体内を医療用カメラで観察したような、実際の様子とは異なった印象を与える。

結び目がひとつの輪をつくりだす──キム・ユンチョル

キム・ユンチョル 《クロマ》 2020 © Kim Yunchul 
Photo by senobi

キム・ユンチョルは、1970年、ソウル(韓国)生まれ。仁川を拠点に、科学や数学の理論を応用したメカニカルな立体作品のほか、電子音響音楽の作曲家としても活動している。《クロマ》はポリマーでつくられた数百のセルを数学の結び目理論に基づいて構成し、豊かな色彩の連鎖をつくり出している。senobiの撮った同作は、生命と機械の境界も曖昧なままに、胎動しているかのようだ。

現在のテクノロジーで歴史的な繋がりを伝える──ロバート・アンドリュー

ロバート・アンドリュー 《つながりの啓示−Nagula》 2020  Photo by senobi

ロバート・アンドリューは、1965年にパース(オーストラリア)で生まれ、ブリスベンを拠点に活動するアーティスト。西オーストラリア州キンバリー地区・ブルームの、大地と水を故郷とするという先住民アボリジニのヤウル族を祖先にもつ。本作は、プログラムで動く精密な機械と土地の文化を反映する顔料や黄色土を使い、西洋文化から遠ざけられ、埋もれていた歴史・文化・個人の物語を掘り起こしている。作品中に記された「nagula」ということばは、翻訳はされない。表れたことばに、senobiは何を感じたのだろうか。

3年に一度開催する国際展として、現代社会の様々な姿をあぶり出しているヨコハマトリエンナーレ2020。”鑑賞する”だけでなく、自分が作品から感じたことを、撮影を通して”表現する”ことで、アートの背景にある社会課題をより主体的に考えることができるだろう。展覧会の過ごし方、解釈の仕方は人それぞれ。ぜひ自分なりの楽しみ方を見つけてほしい。

「美術手帖」TikTokアカウント:https://vt.tiktok.com/ZSHvjUYD/

写真家プロフィール
senobi2001年生まれ、写真家。
高校在学中にフィルム写真に出会い、現在は東京を中心に写真家として活動。 「時間」と「光」を主題に、変わって行くすべてのもののすがたを捉えられるような表現に近づくため、日々模索中。
Twitter URL https://twitter.com/senobi_hyp?s=21
Instagram URL https://instagram.com/senobi_hyp?igshid=a8yu7x71lor7

■「ヨコハマトリエンナーレ2020」概要
タイトル:ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」
Yokohama Triennale 2020 “Afterglow”
アーティスティック・ディレクター:ラクス・メディア・コレクティヴ
展覧会会期:2020年7月17日-10月11日
会場:横浜美術館 横浜市西区みなとみらい3-4-1
プロット48 横浜市西区みなとみらい4-3-1(みなとみらい21中央地区48街区)
公式HP:https://www.yokohamatriennale.jp/2020/